住宅ローン控除は海外赴任中も受けられる?必要な手続きや注意点を解説

最終更新: September 30th, 2026
住宅ローン控除は海外赴任中も受けられる?必要な手続きや注意点を解説

住宅ローン控除(住宅ローン減税)は、海外赴任中でも家族が自宅に住み続けていれば受けられる場合があります。家族全員で赴任して空き家や賃貸にした場合は赴任中の控除は止まりますが、海外赴任前に届出書を提出しておけば、帰国して再入居した後に、残りの期間の控除を再開できます。

「住宅ローンが残っているのに海外転任の命令が出た」

「住宅ローン控除は海外赴任中でも受けられる?」

「海外転出前にしておく手続きはある?」

この記事では、こんな悩みや疑問を解消していきます。

マイホームを購入した後に、転勤が決まるケースは珍しくありません。なかでも大変なのが、海外転勤になった場合。海外赴任中も住宅ローン控除は受けられるのか、赴任中のマイホームは空き家にすべきか賃貸に出すべきかなど、多くの悩みが出てくると思います。

そこで本記事では、海外赴任中も住宅ローン控除を受けられるケースをご紹介します。必要な手続きや注意点も解説するので、海外赴任時の住宅ローンについて悩んでいる方は、ご一読ください。

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海外赴任中でも住宅ローン控除は受けられる?【3パターン早見表】

海外赴任中でも住宅ローン控除を受けられるかどうかは、「家族が自宅に住み続けるか」「空き家にするか賃貸に出すか」で決まります。まずは、自分がどのパターンに当てはまるかを確認しましょう。

パターン

赴任中の控除

帰国後の控除

主な手続き

① 単身赴任(家族が自宅に住み続ける)

受けられる※1

そのまま継続

非居住者になった年は会社の年末調整を受けられないため、確定申告(納税管理人の選任など)

② 家族全員で赴任(空き家にする)

受けられない

再入居した年から再適用

海外赴任前に「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」を提出/帰国後に確定申告

③ 家族全員で赴任(賃貸に出す)

受けられない

再入居した年に賃貸していた場合は翌年から再適用

②の手続き+金融機関への事前相談、家賃収入(不動産所得)の確定申告

※1 所有者が非居住者になっても控除を受けられるのは、2016年(平成28年)4月1日以降に住宅を取得した場合で、総合課税の対象となる国内源泉所得がある年分に限られます。

※ いずれのパターンも、控除期間そのものは延長されません。

参考:No.1234 転勤と住宅借入金等特別控除等|国税庁

住宅ローン控除とは?

住宅ローン控除とは?

住宅ローン控除とは、住宅ローンを組んで新築住宅や中古住宅(既存住宅)の購入、あるいはマイホームの増改築をした際に、条件に応じた金額を所得税から控除する制度です。正式には「住宅借入金等特別控除」といいますが、一般的には「住宅ローン控除」、あるいは「住宅ローン減税」と呼ばれます。

住宅ローンの控除率は、ローン残高の0.7%。つまり住宅ローンの残高が2,000万円の場合、2,000万×0.7=14万円が所得税から控除されます。所得税から控除しきれなければ、翌年の住民税からも一部控除されますよ。

控除期間は最大で13年間ですが、条件によって異なります。また2019年以前に入居した場合の控除期間は、基本的に最大10年間です。

ただし、消費税率10%で住宅を取得し、2019年(令和元年)10月1日から2020年(令和2年)12月31日までに入居した場合などは、控除期間を13年とする特例があります(2021年までに入居した場合も、特例に当たらなければ原則10年です)。

なお、令和8年度税制改正により、住宅ローン控除の適用期限は5年間延長され、2026年(令和8年)1月1日から2030年(令和12年)12月31日までに入居した場合も対象になりました。あわせて、省エネ性能の高い既存住宅(中古住宅)の控除期間が13年に拡充され、床面積要件も新築住宅・既存住宅ともに40㎡以上に緩和されています(合計所得金額が1,000万円を超える人などは50㎡以上)。

住宅ローン控除とは?

引用:住宅:住宅ローン減税 - 国土交通省

住宅ローン控除の適用を受ける方法

住宅ローン控除の適用を受けるには、さまざまな要件を満たしている必要があります。

  • 自分が住むための住宅である

  • 控除を受ける年の12月31日まで住んでいる

  • 床面積が50(40)平方メートル以上ある

  • 合計所得金額が2,000万円以下である(床面積40㎡以上50㎡未満の場合は1,000万円以下。2021年までに入居した場合は3,000万円以下)

  • 所得金額の合計が3,000(1,000)万円以下である

  • 住宅ローンの借入期間が10年以上である

  • 引き渡し日(工事完了日)から6カ月以内に入居している

  • 1982年以降に建築されているか、現行の耐震基準に適合している など

住宅ローン控除を受ける初年度は、会社員であっても確定申告をしなければなりません。添付書類も多いので、国税庁のチャットボットなどで確認しましょう。2年目以降は、会社の年末調整で住宅ローン控除が受けられます。

参考:No.1212 一般住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁

参考:住宅ローン減税(令和8年度税制改正後)Q & A 【2026年7月更新】

関連記事:国税局から郵便物が届いた!なぜ届くのか・どう対処すべきか解説

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【単身赴任の場合】海外赴任中も住宅ローン控除を受けられる

【単身赴任の場合】海外赴任中も住宅ローン控除を受けられる

住宅ローンの名義人が海外赴任になってしまうと、住宅ローンの適用要件である「自分が住むための住宅である」という点が満たされません。そのため住宅ローン控除は受けられないと考える人もいるでしょう。

けれども以下2つの条件に当てはまるケースでは、引き続き住宅ローン控除を受けることが可能です。

  • 海外転任の命令等、やむを得ない事情がある

  • 名義人が単身で海外赴任し、家族は引き続きマイホームに住み続ける

この場合の「家族」とは配偶者や子どもなど、生計を一にする親族のこと。他者が住む場合は適用されないので、注意してください。

2016年4月1日以降に住宅を取得していた場合は非居住者でも控除を受けられる

海外赴任で日本の非居住者になっても、2016年(平成28年)4月1日以降に住宅を取得した場合は、家族がその家に年末まで引き続き住んでいれば、住宅ローン控除を受けられます。この日以降に取得した住宅は、所有者が居住者か非居住者かを問わず対象になるためです。

一方、2016年3月31日以前に取得した住宅は、所有者が非居住者である期間は控除を受けられません。

また、非居住者が控除を受けられるのは、出国前の給与所得や、出国後の国内の不動産所得など、総合課税の対象となる国内源泉所得がある年分に限られます。

参考:No.1234 転勤と住宅借入金等特別控除等|国税庁

海外赴任中に住宅ローン控除を受けるための手続き

1年以上の予定で海外赴任する人は、税法上、原則として「非居住者」と推定されます。また、1年以上海外に滞在する予定であれば、市区町村に海外転出届を出し、日本の住民票は除票されます。そして非居住者は、国外で得る収入に対して税金が発生しません。つまり国外で給与を得ても、日本の所得税を徴収されることはないのです。

つまり非居住者に対しては、会社で年末調整が行われることはありません。初年度を除いて、会社の年末調整で住宅ローン控除を受けていた人は多いと思いますが、それができなくなってしまうのです。

そのため住宅ローン控除を受けるには、自分で確定申告を行う必要があります。ただ、非居住者が自分で確定申告を行うのは難しいので、納税管理人を立てておき、手続きを代行してもらうとよいでしょう。

海外転出届で住民票を抜くことと「非居住者」になることの違い

住民票の除票(海外転出届)は、住民基本台帳の手続きです。所得税の居住者・非居住者の判定とは別の制度になります。所得税では国内に住所があるかどうかで判定し、国外で継続して1年以上住むことが通常必要な職業に就いた人は、国内に住所がない(非居住者)と推定されます。

そのため、住民票を残したまま海外赴任しても、赴任期間が1年以上の予定であれば、税法上は非居住者として扱われるのが原則です。なお、海外転出届を出すかどうかは、海外転出後の住民税の扱いにも関わります。

参考:No.1920 海外勤務と所得税額の精算|国税庁、国外転出届|大田区

海外から確定申告を行うには納税管理人が必要

納税管理人とは、非居住者に代わって税金関係の手続きを行う人のことです。確定申告書の提出や納税手続き、納税通知書の受け取りといった作業を行います。

特別な知識や資格は必要ないので、日本に住んでいる家族が納税管理人になることも可能です。ひとつ注意すべきは、税理士資格を持っていないと確定申告書の作成は代行できない点(有償・無償を問わず、税理士法で禁止されています)。資格のない人を納税管理人にする場合は、本人が確定申告書を作成してください。

また納税管理人を立てるには、海外転出前に届出を行う必要があります。e-Tax を利用してインターネット経由で届け出るか、税務署で納税管理人の届出書を提出しましょう。帰国後は、納税管理人の解任手続きを行ってくださいね。

納税管理人に確定申告を依頼するときの流れは、納税管理人への確定申告の依頼方法で詳しく解説しています。

【注意点】国内源泉所得がない年は控除の対象にならない

国内源泉所得とは、日本国内で発生した所得のことです。国内での勤務に対する給与はもちろん、土地の売却益や家賃収入などが国内源泉所得に含まれます。海外転出して非居住者となっても、国内源泉所得に対しては所得税が発生します。

一方、非居住者が海外で得た所得については、課税対象から外れます。住宅ローン控除は所得税から引かれるため、所得税が発生しなければ控除も受けられません。つまり国内源泉所得がない年は、住宅ローン控除の対象にならないのです。

海外赴任の初年度は給与などの国内源泉所得があっても、2年目以降は国内源泉所得が発生しない人も多いでしょう。その場合は控除対象外となるので、注意してください。(※なお、国債の利息なども国内源泉所得に含まれますが、受け取る時点で税金が自動的に引かれて課税が終わるため、いくら利息があってもローン控除は使えません。)

参考:No.1234 転勤と住宅借入金等特別控除等|国税庁

【家族帯同の場合】住宅ローン控除を受けられるのは帰国後になる

【家族帯同の場合】住宅ローン控除を受けられるのは帰国後になる

マイホームの名義人が単身で海外赴任し、元の家に家族が住み続ける場合は、住宅ローン控除を受けることができます。反対に名義人が家族帯同で海外赴任し、元の家に誰も住まない場合は、住宅ローン控除を受けることができません。

ただし一度住宅ローン控除の対象から外れても、以下の要件を満たせば、帰国後に再適用を受けることは可能です。

  • 会社からの転任の命令等によりやむを得ない事情がある

  • マイホームを居住の用に供しなくなるまでに、必要な手続きを済ませている

注意すべきは、住宅ローンの控除期間は延長できないこと。つまり最大10年の控除が受けられる物件で3年間の海外赴任期間があった場合、実質的な控除期間は7年間となります。

参考:No.1234 転勤と住宅借入金等特別控除等|国税庁

家族全員で海外赴任すると控除はいくら減る?【試算】

家族全員で海外赴任している間は控除を受けられず、控除期間も延長されないため、赴任期間が長いほど受けられる控除の総額は減ります。年末のローン残高が3,000万円で、控除率0.7%(年21万円)がそのまま適用されると仮定すると、目安は次のとおりです。

赴任(控除の中断)期間

空き家にしていた場合

賃貸に出し、再入居した年も賃貸していた場合

1年

約21万円

約42万円

3年

約63万円

約84万円

5年

約105万円

約126万円

※ 実際の控除額は、年末残高の減少、借入限度額、その年の所得税・住民税の額などによって変わります。あくまで目安として参考にしてください。

※ 再適用を受けられるのは、帰国した時点で控除期間が残っている場合に限られます。

1)空き家にしておく場合|帰国した年から住宅ローン控除の再適用が可能

海外赴任中は、持ち家をどうするか悩む人も多いでしょう。主な選択肢は空き家のままにしておくこと、あるいは賃貸に出すことですが、それによって住宅ローン控除の再適用を受けられるタイミングが変わります。

空き家のままにしていた場合は、マイホームを再び居住の用に供した年に、住宅ローン控除の再適用が受けられます。たとえば2026年の10月1日に帰国してマイホームに住み始めた場合、2026年分住宅ローン控除を受けることが可能です。

ただし再居住日が2027年の1月1日以降になってしまうと、控除の再適用は2027年分からになります。2026年の控除を受けるには、2026年の12月31日までに再居住してくださいね。赴任中の空き家の管理が不安な場合は、留守宅管理サービスを利用する方法もあります。

2)賃貸に出す場合|帰国した翌年から住宅ローン控除の再適用が可能

マイホームを賃貸に出していた場合は、住宅ローン控除の再適用を受けられるのが再居住日の翌年になります。たとえば2026年の10月1日に帰国した場合、控除が再適用されるのは2027年以降。空き家にしておく場合と比べて、再適用までの期間が1年遅くなってしまいます。

一方で賃貸に出していると、家賃収入が得られるうえ、家が劣化しにくいというメリットもあります。さらに近年では、あらかじめ契約期間を決めたうえで貸し出すリロケーションも増えています。空き家にしておくのが不安な人や、家賃収入を得たい人は検討してみてもよいでしょう。

賃貸に出していた場合は家賃収入(不動産所得)の確定申告が必要

海外赴任中にマイホームを賃貸に出していた場合、家賃収入は日本国内の不動産から生じる国内源泉所得(不動産所得)になります。非居住者であっても、日本で確定申告が必要です。借主が法人などの場合、家賃は20.42%の税率で源泉徴収されます(個人が自分の住まいとして借りる場合は源泉徴収されません)。源泉徴収された税額は、確定申告で精算します。出国中の申告・納付は、納税管理人を通じて行うのが一般的です。

また、留守宅を賃貸に出す際の契約の進め方や注意点も、あわせて確認しておきましょう。

参考:No.1926 海外勤務中に不動産所得などがある場合|国税庁

【注意点】あらかじめ金融機関への相談をしておく

住宅ローンが残っている家を賃貸に出す場合、あらかじめ金融機関に相談しておかなければなりません。そもそも住宅ローンは、「自分が住むための家を購入する」という目的で借り入れるもの。住宅ローンの残債がある家を無断で賃貸に出していると、規定違反になってしまいます。

規定違反が発覚すれば、住宅ローンの再適用が受けられなくなる、ローン残債の一括返済を求められる、法的措置を取られるといった可能性があります。リスクの高い方法といえるでしょう。

一方で多くの金融機関では、海外転勤はやむを得ない事情と判断されます。そのため賃貸に出す許可もおりやすいので、早めに連絡し、必要な手続きがあれば済ませておきましょう。

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帰国後に住宅ローン控除の再適用を受けるための手続き

Procedures for re-application of housing loan deduction after returning to Japan

家族帯同での海外赴任が決まったら、出国前・帰国後にそれぞれ必要な手続きを行ってください。特に出国前の手続きができていないと、帰国後も住宅ローン控除を受けられなくなってしまうため、注意が必要です。

再適用を受けるための手続きには、特に回数制限はありません。たとえ住宅ローンの控除期間中に複数回の海外赴任があっても、手続きさえ行えば何度でも再適用が受けられます。空き家にする場合も、賃貸に出す場合も同様です。

ここでは出国前の手続き、帰国後の手続きをそれぞれ解説していきます。

1)出国前の手続き|税務署へ届出書を提出しておく

帰国後に再度住宅ローン控除を受けるには、出国前に税務署への届け出をしておきましょう。必要な書類は以下のとおりです。

  • 転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書

  • 年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書の未使用分

  • 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書の未使用分

転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書は、全員が提出しなければなりません。特別控除証明書・特別控除申告書の未使用分は、交付を受けている人のみが提出対象です。

書類の提出期限は、家屋を居住の用に供しなくなる日まで。書面で作成・提出を行ってもよいですし、e-Taxで作成・提出を行うことも可能です。

参考:住宅借入金等特別控除の再適用を受けるための手続1(転居前における手続)|国税庁

転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書(住宅借入金等特別控除)の提出先・期限・e-Tax

この届出書は、家族全員で自宅に住まなくなる日までに、家屋の所在地を所轄する税務署長へ提出します。主なポイントは次のとおりです。

項目

内容

提出先

家屋の所在地を所轄する税務署長

提出期限

住宅ローン控除を受けていた家屋に住まなくなる日まで(海外赴任前に済ませるのが確実)

提出方法

e-Tax(e-Taxソフトで作成して送信)、または書面(税務署へ持参・送付)

添付書類

税務署から交付を受けている場合は、未使用分の「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書」と「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」

対象になる人

住宅ローン控除の適用を受けていた人(入居した年のうちに転居する場合は、この届出は不要)

この届出は、帰国後に控除の再適用を受けるための要件の一つです。提出しないまま自宅を離れると、帰国後に控除を再開できなくなるおそれがあります。海外赴任前の手続きリストに必ず入れておきましょう。

e-Taxで提出する場合は、マイナンバーカードなど、e-Taxの利用に必要な準備を出国前に済ませておくと安心です。国外転出後のマイナンバーカードの扱いもあわせて確認しておきましょう。

参考:A1-41 転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出手続|国税庁、No.1234 転勤と住宅借入金等特別控除等|国税庁

2)帰国後の手続き|確定申告時に必要書類を添付する

帰国して再入居した年(その年に賃貸していた場合は翌年)の分から、確定申告で住宅ローン控除を再適用する申請をします。

初めて住宅ローン控除を受ける際と同様に、住宅ローン控除の再適用を受ける際も確定申告を行います。帰国後の確定申告を行う際には、以下の書類を添付してください。

  • (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書

  • 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書 ※金融機関等が交付したもの

もしやむを得ない事情によって上記の書類が提出できなくても、その証明ができれば控除の再適用が受けられます。また計算明細書 は国税庁のホームページからダウンロードすることも可能です。

なお、2023年(令和5年)1月1日以後に入居した人で、借入先の金融機関が「調書方式」に移行している場合は、年末残高等証明書の添付は不要です(金融機関に「住宅ローン控除の適用申請書」を提出していることが前提です)。金融機関が対応していない場合は、従来どおり年末残高等証明書を添付します。

帰国した年の年末調整や住民税の扱いは、海外赴任から帰国した後の所得税・住民税の記事で解説しています。

参考:住宅借入金等特別控除の再適用を受けるための手続2(再び居住の用に供したときの手続)|国税庁

参考:住宅ローン控除の適用に係る手続(年末残高調書を用いた方式)に関するQ&A|国税庁

入居した年(初年度)に海外転勤が決まった場合、再入居後に控除は受けられる?

受けられます。入居したその年のうちに、転任の命令などやむを得ない事情で家族全員が転居した場合でも、帰国して再入居すれば、再入居した年(その年に賃貸していた場合は翌年)以後の残りの控除期間について控除を受けられます。ただし、住宅を取得してから6カ月以内に入居していたことが前提です。

このケースでは、出国前に届出書を提出する必要はありません。その代わり、再入居後に初めて控除を受ける年の確定申告で、通常の添付書類に加えて、計算明細書と、転任の命令などにより居住しなくなったことを明らかにする書類を添付します。

また、単身赴任で家族が住み続ける場合も、控除の初年度は確定申告が必要です。出国する年が初年度にあたる場合は、納税管理人を通じて翌年に確定申告を行いましょう。

参考:No.1234 転勤と住宅借入金等特別控除等|国税庁

海外赴任前に確認したい住宅ローンの返済と金融機関の手続き

住宅ローン控除とは別に、ローンを借りている金融機関への手続きも海外赴任前に済ませておく必要があります。住宅ローンの返済は赴任中も続くため、主に次の3点を確認しましょう。

  • 住所変更・国内連絡先の届出:金融機関によっては、海外居住中は郵便物を海外へ送らず、日本国内の送付先を指定するよう求めています(例:三井住友信託銀行 、ARUHI )。

  • 賃貸に出す場合の事前相談:前述のとおり、無断で賃貸に出すと契約違反になるおそれがあります。

  • 返済口座の維持:赴任中も返済口座に残高を用意できるよう、海外転出後も日本の銀行口座を使い続けられるかを確認します。

なお、家族全員で赴任して控除の対象外になる期間は、年末残高等証明書を発行しないと案内している金融機関もあります。赴任中に届く書類は帰国後の再適用の手続きにも使うため、誰がどのように受け取るかを決めておきましょう。

そのほか海外赴任時のチェックポイント

そのほか海外赴任時のチェックポイント

海外赴任の際に必要な手続きは、住宅ローン控除だけではありません。ほかにもやるべきことはいくつもあるので、以下の項目をチェックしておきましょう。

海外赴任中の負担や不安を減らすためにも、出国前に手続きを済ませておくと安心ですね。

自分で準備をするのが不安な人には、海外赴任者向けの手続きをサポートしてくれる「海外赴任サポートサービス」もおすすめです。ビザや航空券の手配、住まい探しなど、多様なサービスが受けられますよ。

参考:【海外赴任が決まった方】住民票・転出届・郵便物・必要な手続きを解説 | MailMate

住宅ローン控除 海外赴任に関するQ&A

住宅ローン控除 海外赴任に関するQ&A

住宅ローン控除の適用条件は細かく分かれており、単身赴任か家族帯同か、あるいは空き家にするか賃貸に出すかによって、控除の可否やタイミングが変わります。さらに海外赴任の状況も人によって違うため、「この場合はどうなるの?」と疑問を持つ人もいるでしょう。

ここでは、海外赴任中の住宅ローン控除に関する3つの疑問にお答えしていきます。自分の状況に当てはまるものがあれば、ぜひ参考にしてくださいね。

Q1)2016年3月31日以前に購入した家の住宅ローン控除はどうなる?

実は単身での海外赴任時に住宅ローン控除が受けられるのは、2016年4月1日以降に住宅を取得した場合に限られます。それは2016年3月31日以前に取得した住宅の場合、住宅ローン控除の対象者が「居住者」に限定されているため。対象者が非居住者になってしまうと、住宅ローン控除も適用されません。

ただし居住者期間に取得した住宅については、帰国して家族と一緒に住むようになれば、住宅ローン控除の再適用が受けられます。

なお家族帯同で海外赴任をする場合は、住宅の取得時期による違いはありません。

参考:No.1234 転勤と住宅借入金等特別控除等|国税庁

Q2)家族が先に帰国した場合も住宅ローン控除は適用される?

家族帯同で海外赴任している際に、家族だけ先に帰国するケースもあるでしょう。そのケースでも、住宅ローン控除の再適用を受けることは可能です。家族が帰国して12月31日まで居住していれば、その年分から控除を開始することができますよ。

国税庁の質疑応答事例でも、家族のみが再居住した場合、再適用の要件(出国前の届出書の提出など)を満たしていれば、その年分から再適用を受けられるとされています。本人が海外にいて非居住者の場合は、「2016年4月1日以降に住宅を取得していた場合」の条件(総合課税の対象となる国内源泉所得がある年分に限られる点を含む)もあわせて確認してください。

ただし住宅ローン控除を受けるには、住宅を取得してから6カ月以内に居住することが条件です。そのためマイホームを購入するタイミング、あるいは帰国するタイミングに注意してくださいね。

参考:家族のみが再居住した場合|国税庁

Q3)海外赴任中に購入した家の住宅ローンは組める?

海外赴任中でも、帰国後に住むためのマイホームを購入することは可能です。けれども住宅ローンを組めるかどうかは、状況によって異なります。

金融機関の審査で前向きに判断されやすいのは、たとえば以下のような状況です。

  • ローンを組む人が単身で海外赴任する

  • 帯同中の家族が先に帰国する

  • 近々帰国する見込みがある

このような状況であれば、金融機関とのローン契約もとおりやすいと考えられます。

ただし住宅ローンの審査にあたっては、年収や勤務先、年齢なども判断材料になるため、必ず住宅ローンを組めるとは限りません。まずは金融機関に確認してみましょう。

また、住宅ローン控除を受けるには、住宅を取得してから6カ月以内に入居することが必要です。2016年4月1日以降に取得した住宅であれば、本人が海外赴任中でも、6カ月以内に家族が入居して年末まで住み続けていれば、控除の対象になり得ます。ただし、本人が非居住者の場合は、総合課税の対象となる国内源泉所得(国内の不動産所得など)がある年分に限られます。

参考:No.1234 転勤と住宅借入金等特別控除等|国税庁

Q4)新築して入居しないまま海外赴任した場合、住宅ローン控除は受けられる?

住宅を取得してから6カ月以内に誰も入居しない場合は、原則として住宅ローン控除を受けられません。控除を受けるには、取得の日から6カ月以内に本人、または生計を一にする家族が入居していることが必要です。本人が非居住者で家族だけが入居する場合は、2016年4月1日以降に取得した住宅であることなどの条件があります。引き渡しの時期と赴任のスケジュールが重なりそうな場合は、家族だけ先に入居できるかどうかも含めて早めに検討しましょう。

参考:No.1234 転勤と住宅借入金等特別控除等|国税庁

Q5)海外赴任中の住宅ローン控除は会社の年末調整で受けられる?

非居住者になった後は会社の年末調整の対象外になるため、住宅ローン控除は確定申告で受ける必要があります。出国する年に会社が行う「出国時の年末調整」でも、国税庁が控除できる項目として案内しているのは保険料控除・扶養控除・基礎控除などで、住宅ローン控除は挙げられていません。家族が自宅に住み続けて控除を受ける場合は、納税管理人を通じて翌年に確定申告を行うのが一般的です。

参考:No.2517 海外に転勤する人の年末調整と転勤後の源泉徴収|国税庁

住宅ローン控除は海外赴任中でも利用できる場合がある

住宅ローン控除は海外赴任中でも利用できる場合がある

本記事では、住宅ローン控除は海外赴任中でも受けられるのか、またその際にはどんな手続きが必要なのか解説しました。基本的に家の名義人が単身赴任をして、家族がその家に住み続ける場合は、住宅ローン控除の適用が可能です。この場合、届出書などの特別な手続きは不要ですが、非居住者になって会社の年末調整を受けられない年は、確定申告が必要になります。

一方、日本に家族が誰も残らないのであれば、住宅ローン控除の適用対象外となります。帰国後は再び住宅ローン控除の適用を受けられますが、そのためには出国前・帰国後それぞれで手続きが必要です。いざという時に慌てないためにも、事前に確認しておきましょう。

住宅ローンの控除額は、最大で数百万円にも上ります。家計にも大きな影響を与えるので、うまく活用したいですね。

海外赴任中に日本へ届く住宅ローン減税の書類はどう受け取る?

海外赴任中も、住宅ローン減税(住宅ローン控除)や持ち家に関する書類の多くは、日本の住所に郵送で届きます。たとえば次のようなものです。

  • 金融機関からの年末残高等証明書(調書方式に移行していない金融機関の場合)や返済予定表

  • 税務署からの確定申告に関するお知らせ

  • 持ち家の固定資産税の納税通知書

海外居住中は郵便物を海外へ送らず、日本国内の送付先へ送る金融機関もあります。家族全員で赴任すると自宅には誰もいなくなるため、実家に届くようにするか、郵便物をオンラインで確認できるサービスを使うなど、海外赴任中の郵便物の受け取り方を出国前に決めておきましょう。帰国後の再適用の確定申告でも使う書類なので、なくさないよう管理することが大切です。

海外赴任中の郵便物管理に便利なサービス「メールメイト」

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長期の海外赴任をする際は、海外転出届を提出し、日本の非居住者となる必要があります。ただし非居住者になっても、住所変更をしていない郵便物はすべて元の家に届きます。そのまま放置しているとセキュリティ面が心配ですし、代理で受け取ってもらうとしても、見られたくない郵便物があるかもしれません。

そんな時に役立つのが、クラウド私書箱・メールメイトです。メールメイトは届いた郵便物をPDF化してクラウド上にアップロードしてくれるので、どこにいても郵便物の確認が可能になります。

原本が必要な書類は、海外を含む指定の住所へ転送を依頼することも可能。

さらに請求書の支払い代行機能もあり、日本で支払いが発生した時も安心です。30日間は返金保証が付いているので、ぜひ試してみてください。

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